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錦戸亮の静かな名演に心打たれる…役者としての強みとは? 映画『コットンテール』徹底考察&評価。忖度なしガチレビュー

text by 柚月裕実

日英合作映画『コットンテール』が公開中だ。本作で主演を務めるのはリリー・フランキー、そしてリリーの息子役として錦戸亮が出演していることでも注目を集めている。久しぶりにスクリーンに登場し、本作では最愛の母を亡くした息子役を演じる錦戸の芝居に着目してみたい。(文・柚月裕実)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

日本からイギリスへ、愛する人の遺した想い

©️2023 Magnolia Mae/ Office Shirous
©️2023 Magnolia Mae Office Shirous

本作はパトリック・ディキンソンが監督を務めた日英合作映画。タイトルの“コットンテール”とは日本語で「野兎」を意味する。

リリー・フランキーが演じる兼三郎は、長年連れ添った妻・明子(木村多江)に先立たれてしまう。明子が残した手紙には「イギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いてほしい」と記されており、兼三郎は明子の最後の願いを叶えようと動きだす。

ひとり息子の慧にとっても最愛の母を亡くしたことに変わりなく、慧はこれまでつかず離れずという微妙な距離感で接していた兼三郎に声をかけ、慧の妻・さつき(高梨臨)と4歳の娘・エミと共にイギリスのウィンダミア湖を目指す。東京からイギリスへと舞台を移して描かれるロードムービー仕立てのヒューマンドラマだ。

ワールドプレミアとなった第18回ローマ国際映画祭では、最優秀初長編作品賞を受賞しており、いま注目すべき作品と言えるだろう。

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