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『ドラゴンボール』に手塚治虫が嫉妬した理由とは…? 鳥山明の稀有な才能を5つのポイントで解説。偉大な漫画家の創造術を考察

text by ZAKKY

『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などで世界的な人気を博した漫画家・鳥山明氏が、3月1日に永眠された。享年68歳。後続の漫画家たちの常識を作り、南米では、国家的追悼式が行われ、文字通り世界で認められた伝説の漫画家となった。今回は、鳥山明氏を偲び、氏がいかに偉大な作家であったのかに迫ってみたい。(文・ZAKKY)

①様々な角度から人物、メカなどを描ける「空間認識能力」

ドラゴンボール
ドイツのケルンで開催されたゲームズコムの一幕Getty Images

画力の高さはデビュー当時から絶賛されており、特に『Dr.スランプ』(集英社)初期の扉絵などは、リアリティーとデフォルメが混在した、もはや優れた絵画である。

生前の手塚治虫氏が、「ちょっと上手すぎるよね」と嫉妬したほどであり、プラモデルを作ることが趣味であった鳥山明は、自身で作った模型を様々な角度から描くことで、唯一無二の「空間認識能力」を身に着けたという。

この能力は『ドラゴンボール』における、特にバトルシーンにて存分に発揮され、誰も見たこともない角度からの格闘シーンが堪能できる。

アニメ版も良いが、ぜひ、静止画でありながらの1コマ1コマにおける躍動感を、コミックスにて意識的に見てほしい。無駄なコマが何ひとつとしてないことがわかるはずだ。

また、メカデザインにも、注目したい。

ただの自転車やバイク、車、飛行機などもオリジナリティー溢れるデザインを施しており、それらも人物同様、多角度的に描かれている。

特にコミックスの表紙・各話の扉絵には、ストーリーには関係ない「悟空とウーロンがバギーのような車に乗っている」「ブルマが戦闘機のコックピットに乗って降り、窓の向こうには、筋斗雲に乗った悟空がいる」など、遊び心溢れるイラストを残しているので、本編とは別モノとして楽しんでみてはいかがだろうか。

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