「大人が見ても楽しめる」『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』プロデューサー・谷上香子、単独インタビュー
『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』が現在公開中。かつての相棒“スイセン”を仲里依紗が務め、おしりたんていの過去に迫った内容となった。今回は、『おしりたんてい』のプロデューサーである谷上香子さんにインタビューを敢行。子どもから大人まで楽しめる、今作の制作秘話を語っていただいた。(取材・文:タナカシカ)
「テレビ版とは一線を画す付加価値をつけたかった」
『おしりたんてい』を卒業した子どもたちでも楽しめる
――テレビアニメ『おしりたんてい』(NHK Eテレ)は2018年から放送が開始され、今年で6年目となります。まずは、今回の企画経緯についてお聞きできればと思います。
「映画は元々、『東映まんがまつり』というお子さん向けのオムニバス映画のなかの1本として短編映画を3作作っていたんです。
そろそろ『おしりたんてい』で長編を…ということで、せっかくやるならテレビとは違うものをやろう! という話になり、テレビアニメよりも対象年齢を上げることにしました。
テレビとの差別化という理由としては、自宅で気軽にみられるテレビアニメと比べて、映画は行くだけでお金と時間がかかりますので、テレビとは違うという付加価値をつけたかったんです。
TVアニメ放送が6年目を迎えて、当初、視聴者だったお子さんたちも一緒に成長しています。中には『おしりたんてい』を卒業したお子さんたちがいますので、もう一回、『おしりたんていってこういうところもあるんだ』と思ってもらえたら、また、小学生のお子さんが、ちょっと背伸びして見たいと思ってもらえるように、映画としての面白さを追求できればと今回の企画を立ち上げました」
――今作の脚本を制作するうえで、原作者のトロル先生とはどういったどういった会話があったのでしょうか。
「映画は、『映画おしりたんてい カレーなる じけん』(2019)以外、すべてオリジナルの脚本なんです。いつも、『こういう映画をやりたいです』ということを初めに先生に説明して、良い反応をもらえたら、脚本家の方と監督とストーリーを練り上げていきます。
ある程度できたところで、もう一度先生に、こんな感じで作っています。と企画をお伝えする、という流れで制作しています。今作ですと、当初は、『ボロボロになって、それでも依頼人を守る! というおしりたんていを見たいんです』という説明をしました。それを先生も面白いとおっしゃってくださって、『じゃあそれをどういう事件にしようか。依頼人はどんな人がいいか』とシナリオ会議を進めました。
会話を重ねていく中で、『おしりたんていの過去を知るミステリアスな女性を依頼人にしたいんです』と先生にお伝えしたら、トロル先生から、いつものシチサンの髪型ではなくて、10年前のふわっとした髪型の学生時代のおしりたんていのイメージを出してくださったんです。
それから、かつての相棒“スイセン”というキャラクターとおしりたんていの二人ペアのイラストを描いてご提案頂いたものを見たライターさんのイメージが膨らんでストーリーが広がり・・・と、キャッチボールのような感じで進めていきました」