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「都合よくせずに、リアルなところもちゃんと残しています」
大人でも楽しめる小ネタ満載

©トロル・ポプラ社/2024「映画おしりたんてい」製作委員会
©トロルポプラ社2024映画おしりたんてい製作委員会

――親御さんたちが、子どもと一緒にそういう考え方を共有できたらいいですね。お子さんと行く、お父さんやお母さんでも楽しめるようにと、今作で工夫した点はありますか?

「やっぱり、ストーリーにドラマをしっかり作るところと、ミステリー作品として楽しんでもらえるものを作る、というところはすごく意識しました。

一番の視聴者層は子どもなので、テレビアニメの方は子ども向けに作っているんです。でも、映画に関しては、振り切って、大人が一人で映画館に行っても『楽しかったな』って思って帰ってもらえるように、『おしりたんてい』の存在を知らなくても、一本の映画として『面白かった』と思ってもらえるものを作ろうと考えています。掘り下げるところは堀り下げて、ミステリー作品としての動機、キャラクターの葛藤、といったところをきちんと作ることに気をつけました」

――個人的に、アクションシーンや背景の作り込みが丁寧に描かれていると感じたのですが、こういった描写は、先ほど谷上さんがおっしゃっていた、『大人が一人で見に行っても、面白いと思ってもらいたい』というところにつながるのでしょうか。

「そうですね。アクションや細かいところの作り込みは見どころです。今作は、贋作のすり替えが事件の中心になっているので、作中に出てくる絵画は制作スタッフがかなり時間をかけました。色んな名画をモチーフに、『おしりたんてい』ならではの作品として落とし込んでいます。例えば、『落穂ひろい』を『落ちヒゲひろい』という名前の絵画にしたり、ゴッホの『ひまわり』を、5本の『タンポポ』にしたり」

――見切れている絵画も全て実際にあるものだという発見、“ハッタンタウン”の美術館も“メトロポリタン美術館”の大階段を忠実に再現されていたので、すぐに気が付くことができました。こういった点で、広い世代をターゲットにされているこだわりを感じました。

「本当によく観てくださっていますね。実際、具体的な場所をイメージして作りました。今作は、20年代のニューヨーク「マンハッタン」を参考にして、ハッタンタウンを作りました。なので、『自由の女神も出したい、最後にこの自由の女神はおしりたんていの必殺技を喰らうかも!!』と話したり(笑)

『おしりたんてい』は架空の世界で、テクノロジーも一昔前ではあるんですが、都合よくせずに、リアルなところもちゃんと残しています。そういった点が特に大人が見ても楽しめるようになっていると思います」

――作り込みが素晴らしかったので、何度も一時停止したと思いながら拝見させていただきました。

「ありがとうございます。作り込みは非常に意識しています。でもそれはやっぱり原作のトロル先生が、1ページ1ページ、すごくこだわって作り込まれているからですね。『おしりたんてい』の原作ファンの方は、小ネタなどの書き込みが隅々まであるところがお好きだと思うので、今作でもそういったところを大事にしています」

――では最後に、これから映画を心待ちにしている方達に、特に注目してもらいたいシーンや、本作でしか見られないポイントを教えてください。

「今回は、“相棒”がキーワードになっていて、今の相棒であるブラウン、かつての相棒であるスイセンが登場します。スイセンは有能な探偵であるのに対して、ブラウンが焦って落ち込んでしまうシーンがあるんですけど、この二人の相棒同士が出会うシーンが見どころです。

ブラウンが成長する姿が、映画ならではで、観ている人の心に響くんじゃないかなと思います。是非、ブラウンの目線になって、応援しながら見ていただけたらなと思います」

(取材・文:タナカシカ)

【作品情報】
原作:トロル
監督:セトウケンジ 脚本:高橋ナツコ 成田 順 音楽:高木 洋
声の出演:三瓶由布子 齋藤彩夏 櫻井孝宏 杉村憲司 池田鉄洋 小西克幸 中村まこと 渡辺いっけい
ゲスト:仲里依紗 津田健次郎 二又一成
キャラクターデザイン・作画監督:真庭秀明 製作担当:末竹 憲 編集:田公紀 録音:澤村裕樹 音響効果:中原隆太
美術デザイン:増田竜太郎 美術監督:東 美紀 色彩設計:森 綾 撮影監督:則友邦仁
制作:東映アニメーション
製作:2024「映画おしりたんてい」製作委員会
配給:東映
上映時間:71分
©トロル・ポプラ社/2024「映画おしりたんてい」製作委員会
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