SUMIRE「その場で生まれた感情をナチュラルにすくい取ってもらえた」
テストなしの撮影スタイルを経験して
―――『朝をさがして』の終盤の別れ話のシーンでは、最初、SUMIREさん演じる美琴と彼氏が向かい合っていますが、美琴がビールを取りに行く動きをきっかけに、斜めの位置関
係になりますよね。それによって目線がしばしば彼から外れるのが印象的でした。美琴は特に彼氏との家のシーンで何もないところを見ている瞬間が結構ありますよね。
SUMIRE「彼との関係性が良くない中で、なんか煮詰まっている感じがあって。美琴として現場にいさせてもらって、そうした空気を目で表現するところがあったのだと思います。
一方で遼太郎とのシーンもそうですけど、隣合わせだと視線を合わせづらいけど、斜めの位置関係だからこそ見られる。ということも言えるのかなと。その辺は意識していたかもしれません」
常間地「『朝をさがして』では、 段取りでお芝居を固めた上で撮るというのではなく、一発目からカメラを回していく方法にチャレンジしてみたんです。もちろん、撮影前にビールがここにあるとか、料理の具材がここにあるとか、事前にインフォメーションを共有した上で、です。その中でチューニングしていくというか、なるべくそこで生まれるものを大事にしたいと思って。
事前に関係性をしっかり理解した上で感情が伴えば動きは自然に出ると思っているので、なるべく純度を落とさずに捉えるためにどうしたらいいのかと考えて段取りもテストも無いまま回していきました」
―――テストもリハーサルもしない撮影スタイルは、SUMIREさん的にいかがでしたか?
SUMIRE「勉強になりました。1発で最初からカメラを回していただくスタイルだったからこそ、その場で生まれた感情をナチュラルにすくい取ってもらえたというのもあると思うので、有難かったです」