「相性はすごく合っていたような気がします」
初共演にして通じ合えた遠藤雄弥との関係
―――辰巳のキャラクターを詳しく見てきましたが、これまでの話を踏まえると“後藤”との関係性もまた違った見方が出来るように思えてきます。葵が敵の兄を殺して深手を負った後のシーンで辰巳は“後藤”を頼りますが、その時に“後藤”は辰巳に『お前は俺のものだ』って言いますよね。2人の関係性はもちろん銭形とルパンだと思うんですけど、あのシーンにはどこか恋愛に似た感情も垣間見えた気がしました。
後藤「そうなんですか(笑)。そのセリフに関してですが、自分に引き付けて考えた時に、友人に対してもそう言いたくなる気持ちが少しわかるといいますか。辰巳と後藤はライバル的な部分があると思うんですけど、それまでも辰巳は後藤の言うことを全然聞かなかったと思うんですよね。実際、昨日友達と飯食う約束があったんですけど、『ちょっとキャンセルして』って急に言われて(笑)。そういうちっちゃいことでも『お前は俺のものだ』って言いたくなる気持ちの兆しみたいなものがあるような気がして」
―――この映画における辰巳の受動性を踏まえた時に、2人の関係性はいわゆる男同士のマウントの取り合いとはまったく異なる水準にあると思ったんです。
小路「確かにそういう考え方もできるかもしれないですね。本当、なかなか言わないですもんね、人に向かって『お前は俺のものだ』って。まるで恋愛映画のセリフですよね」
―――辰巳役の遠藤雄弥さんとは現場でどのような距離感でしたか?今回が初共演ですよね。
後藤「一応面識はあったんですけど、別に仲良くはなくて、やり取りもほとんどしたことがなかったんですよね。ただ今回共演させてもらって、相性はすごく合っていたような気がしますね。遠藤さんもそう言ってくれたんで。それは余計な会話とかすり合わせを必要としなくても、ただただセリフを交わし合うだけで、後藤と辰巳の関係だけで純粋に成立するものがあったと思っていて」
―――現場で遠藤さんとの阿吽の呼吸を特に感じられたシーンはどこでしたか?
後藤「葵のお姉さんが殺されて、辰巳が後藤の工場に助けを求めてやってきたシーンです。『ダメだ』って自分はずっと突っぱねるんだけど、最終的には受け入れる。一回殴って突き放してといった細かい演出はあったんですけど、それ以外は打ち合わせなどもなく、遠藤さんと気持ちを通わせ合うことができたと思っています」