「空気感の良いアンビエントの音楽を想像していた」
キャストやスタッフと『バジーノイズ』の空気感を握り合えた瞬間
―――いろんなバリエーションの音楽がありますが、原作を読んだ時に、「こういう雰囲気の音楽にしたい」というイメージはいつ頃から固まっていたのでしょうか?
「読者のみなさんにもイメージしている音楽があったはずですが、僕は、なんとなく柔らかで揺蕩っているような、空気感の良いアンビエントな音楽を想像していたので、そのイメージに向かってYaffleさんとどういう風に作っていくかコミュニケーションをとっていきました」
―――曲を作る際、風間監督から具体的にどのような要望がありましたか。
「基本的にはYaffleさんに『バジーノイズ』の原作とシナリオから清澄のキャラクターを咀嚼して、そこから生まれてくる音に昇華していただけたら良いです。という気持ちでしたが、もう少し踏み込んだことで言うと、清澄の『音楽さえあればいい』 という自分の生活や日常に、少しの寂しさや空虚な気持ちのようなものがあって、そういう人が作る音楽にしたいんです。ということはお話しさせていただきました」
―――Yaffleさんと二人三脚で曲を制作されたということですが、出来上がった曲を聴いたときは、どういった印象を持ちましたか?
「そうですね。並走しながら、一緒にスタジオに入りながら作っていったので、どちらかといえばYaffleさんと一緒に、プロデューサーやキャスト達に提示して、どういったリアクションになるだろうということを気にしていました。でも、ラフで上げてくださった一曲目から清澄の作る音楽の核が、すでに見えるようになっていたので本当にYaffleさんのアプローチは流石です」
―――ちなみに、キャストやスタッフの方々の反応はいかがでしたか?
「もうシンプルに『かっこいい』と言っていました。やはり、清澄らしさ、『AZUR』らしさを受け取りながら、それぞれが想像していた音楽に近かったんじゃないかなと思います。そして、多分それを超えるものになっていたんじゃないでしょうか。そこで『バジーノイズ』の世界観を握り合えた気がします」
―――先程、本作のヒロインである桜田ひよりさんにインタビューをさせていただいたのですが、『音源をいただいてからずっと聴いていました』とおっしゃっていました。私も作品を拝見した際、清澄の作る音楽を早くダウンロードしたいと思っていました。
「ありがとうございます。清澄や『AZUR』が鳴らす音楽を聴きながら準備を進めていきたいというスタッフからの要望もあったので、全員で共有していました。現場中、タブレットから音楽を流しながら作業しているスタッフがいたりして、僕らの映画作りも音楽に並走している実感がありました」
―――本作は、ドラマ『silent』(フジテレビ系/2022)と『チェリまほ』(テレビ東京/2022)チームが集結されています。風間監督の世界観をよく理解している方々と再び同じ作品を制作されたということで、現場の雰囲気をお聞きできればと思います。
「一緒に作品を作る際、コミュニケーションの経験の有無で、自分たちの作りたいものや、空気感そのものの理解がまったく違うと考えています。そういった意味では、作品を重ねるごとにアドバンテージが貯まっていくものだと思っているので、本作は非常に安心感のある現場だったと思います」