ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「音楽映画ではなく音映画に…」映画『バジーノイズ』風間太樹監督インタビュー。シナリオ作りで加筆した設定とは? » Page 5

「生活の音を感じながら音楽への第一歩が始まっていく」
映画にする上で加筆した原作にない心情

©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
©むつき潤小学館バジーノイズ製作委員会

―――この詩的なシーンでは、服装にも注視して拝見させていただきました。原作では、潮はトラックジャージを着ていますが、映画では半袖に短パンという姿に変更されています。どちらも潮の飾らない性格を表現されていると思いますが、映画では、よりラフさを感じ、夏の夜道の雰囲気にとても合っていました。こちらはどなたのご提案だったのでしょうか。

「衣装に関しては、先にイメージをお伝えした上で、スタイリストに衣装を集めてもらっているので、寄り添って頂きながらより良い衣装を選んでもらえましたね。

傷心の気分で清澄の家のチャイムを鳴らして、自分の傷、不安に対して、半ば強引に寄り添ってほしいと、言葉を交わしますが、清澄の拒絶があった後、自分で自分自身に蓋をする。その時に、脱力した衣装の方が、潮のプライベートの空間に彼の音楽が聞こえてきて、思わず衝動的に窓ガラスを割って飛び出していったという真意を描くことができ、潮の人間味、油断が映ればと思っていました」

―――清澄が音を作るシーンはもちろんですが、海の音や歩く時の砂利の音、息遣いや清澄の仕事である清掃の音など、生活音からも音楽を感じることができ、作品2時間で1つの楽曲になっている気がしました。日常の音にも相当こだわられたのではないでしょうか?

「そうですね。本作を制作していくうちに、『“音楽映画”ではなく“音映画”にしたい』 と思うようになっていったので、日常の生活音にもこだわりました。

清澄が耳を澄ませている日常の音、清澄の着想する視点は、彼が良いと思う環境の音、生活の音を感じながら音楽への第一歩が始まっていくという設定を加筆させていただいたということもあって、全編を通して、清澄が感じている体感の音を、常に大切に描きたいと思いながら撮っていました」

―――セリフのないシーンでも受け取れるものが多く、何度も見返したい作品でした。

「そう言ってもらえて嬉しいです。生活音や環境音に、キャラクターの心情を代弁しているシーンがたくさんあるので、音にも耳を向けて観ていただけたらと思っています」

―――最後に、映画『バジーノイズ』を心待ちにしている方に、是非注目してもらいたいシーンや描写があれば教えてください。

「もう言葉にしてくださっていると思いますが、今回“音映画”として登場人物たちそれぞれの内生から聞こえてくるような自然の音だったり、自分自身の動いている生活の音、音楽やセリフのない描写、それぞれから受け取れる感情に、成⻑があると考えながら撮ったので、それを目からも耳からも楽しんでいただけたら非常に嬉しいです」

(文・取材:タナカシカ)

【作品情報】
タイトル:バジーノイズ
原作:むつき潤「バジーノイズ」(小学館「ビッグスピリッツコミックス」刊)
監督:風間太樹「silent」「チェリまほ」
music concept design: Yaffle
主題歌:「surge」 清澄 by Takumi Kawanishi(JO1) ©︎LAPONE Entertainment
出演:川西拓実(JO1)、桜田ひより、井之脇海、栁俊太郎
円井わん 奥野瑛太 天野はな 駒井 蓮 櫻井海音 馬場園梓 / 佐津川愛美 テイ龍進
製作:映画『バジーノイズ』製作委員会
制作プロダクション:AOI Pro.
製作幹事・配給:ギャガ
©むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
公式サイト
公式X(旧Twitter)
公式Instagram

【関連記事】
横顔が綺麗すぎる…JO1川西拓実を大スクリーンで眺める喜びとは? 映画『バジーノイズ』考察レビュー。珠玉の主題歌も解説
「私の色を引き出していただいた」映画『バジーノイズ』桜田ひよりインタビュー。『silent』再タッグ、風間監督との出会い
【写真】映画『バジーノイズ』劇中カット一覧

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!