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「見るたびに色々考えさせられる作品を目指したい」

写真: 武馬玲子
写真 武馬玲子

―――小島監督が先ほどおっしゃった、伝統と革新、どちらか一方に肩入れするのではなく、その間で揺れているという点は、本作を魅力的にしている要素の一つだと個人的に思います。大迫一平さんが演じている父・信夫は少し未熟な部分を抱えた人物です。どのような思いで、このような父親像を描かれましたか?

「ある意味、信夫は自分に近いところがあって。自分自身、父親らしくいたいと思っていても、いつまでたってもなれないなって思ってるところがあるんですよね。

僕ら世代の問題として括れるかどうかはわかりませんが、子供のまま大人になった人たちって、世の中、多いのではないかと思います」

―――そういう人が、下の世代や自分の子供にどう接するのか、どう向き合うのかを描いた映画でもありますよね。信夫は結衣に対しても怒らないですし、規範を押し付けることもない。そういう意味では美樹の師匠と対照的ですよね。

「そうですね。信夫もこの映画の中で少しずつ自分の幼さに気づくというか、『確かにそうだったな』って気づいて、終盤にかけて少しつづ結衣に向き合おうとするっていう流れにしています」

―――そういう意味で本当に色んな見方ができる映画だと思います。芸術について、14歳の少女がどう生きていくのかについて、父親としてどう振る舞ったらいいのかについて。1本の映画に多様な要素が盛り込まれています。

「そうですね。イ・チャンドンの作品などを観ていても、色んな捉え方ができる映画になっているといつも思っていて。見るたびに色々考えさせられる作品ほど観終わった後もずっと心に残るので。自分もやっぱそういうところを目指したいって思っているところはありますね」

(取材・文:山田剛志)

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