ポイント②“非線形”型の大胆な物語構成
次に挙げられるのが“非線形”型の物語構成だ。『あのコはだぁれ?』は過去と現在が常に交差し、作中の時間軸が安定しない。時には、現在と過去を同時にフレームに収めることで物語を進める場面がある。
この手法は、作品のダルみを押さえる効果があるが、観客を混乱させるリスクもある諸刃の剣だ。『あのコはだぁれ?』は非常に短期間で仕上げた作品と伺っているが、そう思えないほど自然な編集で時間軸が交差していく。クライマックスでは交差した時間が一体となる見事な演出が楽しめる。
また、過去を描くのではなく「同じ芝居を繰り返させる」手法も楽しい。
こちらは『ミンナのウタ』でも使われ、お気に入りの場面としてあげるファンも多い。今回はそれがブーストされている。前回は単純な“恐怖演出”だったが、今回は明らかに“悪意”を感じる反復場面があり、なかなか意地が悪いのだ。