登場人物みんなぶっ飛んでる!
映画『Gメン』の痛快さのワケ
高校生役を演じる岸が、撮影時は26歳であることから、バランスを重視し、アラサー、アラフォー世代をキャスティングしたという。「高校生に見える!? 」という鑑賞前の不安を一蹴するかのように、そんな懸念がいかに小さいことだったか……というよりも、キャスト陣、スタッフ陣のプロの仕事ぶりが光る。
本作の肝の一つであるアクションシーンは、岸を筆頭にG組メンバー、相手役ともにスピード感と躍動感あるアクションで魅了。時には高校生とは思えないスリリングな演出も盛り込まれ、その“ド迫力”がストーリーに緩急をつけている。
ヤンキーにしては体の線が細く感じるが勝太の俊敏な動きと動作のキレが心地よく、主人公らしい堂々とした立ち居振る舞いだ。
手脚の長いモデル体型の竜星涼は華麗な足技を披露。矢本悠馬は彼にしかできない技を繰り出し、森本慎太郎とEXIT・りんたろー。はヤンキーマンガに欠かせない威勢の良さとパワフルなファイトスタイルで映画に活気をもたらす。
アクション監督を務めた冨田稔はインタビューで「痛々しい暴力描写は控えた」と明かしている。その言葉通り、喧嘩のシーンでは、”痛さ”よりも、軽快な身のこなしをダンスのように撮る演出がなされており、普段、荒々しい描写を苦手とする人も本作のアクションシーンは安心して観ることができるだろう。
そして、荒れ果てた教室で“可憐に咲く花”であってもいいはずのG組担任・雨宮瞳役の吉岡里帆もまたカマしている。ヤンキー生徒を前に怯えるどころか、たびたび魂の叫びを発し、凄まじい迫力で生徒を圧倒する様は圧巻。金八先生もヤンクミもひっくり返る熱演をみせている。
一方でレディースの総長でありながら、ピュアさを覗かせる上城レイナに扮した恒松祐里が気風のいい芝居を見せる。数十秒に一回というほど、頻繁に登場する笑いを誘うセリフ、ブレないキャラクターの濃さ、ストーリーのテンポの良さとが混ざり、『Gメン』の世界にめり込ませてくれる。