ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 高校生に見えない…ぶっ飛んだ設定なのに共感できる理由は? 映画『Gメン』考察。ヤンキー岸優太が最高。忖度なしガチレビュー » Page 4

ぶっ飛んだ青春に教えられること

尾上松也【Getty Images】
尾上松也Getty Images

「本当の強さってなんだかわかるか? 」

ぶっ飛んだ青春ストーリーの中にも訴えかけてくるものがある。印象的だったのは、勝太と拓美、伊達薫(高良健吾)との対話シーン。勝太は相手を否定したり茶化したりすることなく思いを受け止める。その上で「俺は〇〇の方が〇〇です」と濁さずに自分の意見を述べる。傷をつけることのない言葉選びには誠実さがある。

本作はヤンキー高校生をベースに描かれているが、学校や会社など身近な人間関係、SNS上での誹謗中傷等に置き換えてみると他人ごとではないと考えさせられるものがある。

SNSで“鋼のメンタル”で発言をしている人が本当に強いとは限らないし、正論を振りかざして荒々しくぶつかるのも違うのだろう。尊重しなければならないこと、越えてはならない一線、基本に立ち返るようなメッセージも受け取れる。

劇場では頻繁に笑い声が聞こえてきたり、それと同じくらいスクリーンに釘付けになったり。キャスト陣が楽しそうに演じている雰囲気が伝わってくるのはもちろん、パンフレットの端々からもただならぬ熱量が感じられる。

仲間との絆、それぞれが抱える悩み、恋愛……若者の青春のど真ん中を射抜く感じが清々しく、ハチャメチャっぷりには爽快感を覚える。

ジェットコースターに乗りながら絶景を目撃するような、心を掴まれる場面も多い。勝太を筆頭に愉快な仲間たちがたくさんの笑いをもたらし、そして心に温かいものを残してくれる『Gメン』。ドラマでも映画でも続編を熱烈に希望する。

(文・柚月裕実)

【作品情報】

公式サイト

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!