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そこにゴジラへの愛はあったのか? 映画『ゴジラ−1.0』は「ご都合主義がエグい…」。忖度なしガチレビュー

text by 灸怜太

「ゴジラ」の生誕70周年記念作品『ゴジラ−1.0』が公開中だ。監督には『永遠の0』などで知られるヒットメーカー・山崎貴。戦後の日本を舞台に、神木隆之介、浜辺美波の豪華キャストでおくる新生ゴジラは面白い? つまらない? 忖度なしのガチレビューをお届けする。(文・灸怜太)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>

「襲われる側の人類を弱くする」という新機軸

©2023 TOHO CO., LTD.
©2023 TOHO CO LTD

映画界の大名跡「ゴジラ」の新作が見られるというだけで、ありがたい話である。この企画を受けた山崎貴監督にまずは敬意を表したい。

歴史と伝統があり、マニアの厳しい目にさらされ、日本はもちろん、ハリウッドでもコスりつくされた「ゴジラ」を、今どう表現するのか、というのは企画・設定を含めてかなりの難関だと思われるからだ。

そこで『ゴジラ-1.0』が打ち出した大ネタは、時代設定を太平洋戦争直後の、敗戦にうちひしがれる日本にしたことだ。ゴジラを強化するのではなく、襲われる側の人類を弱くするというのは、新機軸であり、その絶望感も含めて面白くなりそうな構図である。

しかし、いざ本編がはじまると、ゴジラが本土に上陸するのは終戦直後のゼロ状態ではなく、それから数年経って復興が進んだ頃の東京である。

ゴジラが銀座で暴れまわるシーンを盛り上げるためには、ある程度の建造物が欲しかったということだろうか。とにもかくにも、思っていたものとは少し違う展開である。

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