「誰が勝つのか」を知っていても面白いアクションシーン!
さて、今作でまず目を引いたのは、なんといってもド派手なアクションシーンだ。冒頭の日露戦争のシーンをはじめ、杉元・第七師団・土方一派の戦闘がたびたび登場する。
原作を細かい部分まで再現している。例えば「尾形が杉元と対峙した際の刀の構え方」 とか、もう完璧だ。また「牛山が抱いていた女を土方にぶん投げる場面」も忠実に再現されており、女がフリスビーのように飛んでいく。「鶴見中尉や牛山の走り方」も原作がそのまま再現されていて、ちょっと笑ってしまった。
原作の再現度はもちろんだが、何より映画作品として、アクションシーンへの力の入れ方が尋常じゃない。とにかく、それぞれの戦闘が細かく、時間を使って描かれているのだ。
今作で監督を務めた久保茂昭は、ド迫力の喧嘩シーンで知られる『HiGH&LOW』シリーズを手掛けている。また制作プロダクションは『キングダム』シリーズを手掛けるCREDEUSが担当。
この制作陣だからこそ、質の高いアクションシーンが実現したのは言うまでもない。結構な尺を使っているが、スピード感があり、まったく飽きない。原作ファン的には「誰が勝つのか」を知った上で映像を観ることになるわけだが、それでもガチで手に汗を握りながらスクリーンを見つめていた。
特に冒頭の日露戦争のシーンが圧巻だ。原作では7ページほどで、割とあっさりとまとめられるシーン だが、映画ではかなり濃厚に描かれる。首に銃撃を受けながらも、狭い塹壕でロシア兵を倒す山崎賢人のアクションがかっこよすぎる。 塹壕の壁を蹴りつつ前に突き進み敵を倒すシーンで、グッと心を掴まれた観客も多いはずだ。
“戦闘シーンの緊迫感”を見事に表現した理由の一つが「ちょいグロ描写」をできるだけ再現していることだ。例えば「ヒグマに顔を引っかかれて皮が剥げる」「杉元の頬に竹串が刺ささる」「杉元が二階堂弟の腸を盗む」といったシーンもしっかり再現されている。
今作はPG12だが「R-15じゃなくていいんだ……」と思った場面も少なからずあった。