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佇まいで表現する孤独と悲哀ー配役の魅力

2023年カンヌ国際映画祭で6年ぶりの新作映画『首』を披露
2023年カンヌ国際映画祭で6年ぶりの新作映画首を披露Getty Images

本作のキャストでまず挙げなければならないのは、堀部役の大杉漣だろう。堀部は、前半ではかなり饒舌なものの、凶弾に倒れて独り身になって以降は、海や花をじっと眺めたり、無心に絵を描いたりといったシーンが多くなる。しかし、大杉は、セリフがアクションがないにも関わらず佇まいだけで見事に人生の悲哀や孤独を表現している。

また、大杉と同様、美幸役の岸本加世子も、ほとんどセリフがないにも関わらず、自身の不遇や西への感謝の思いを見事に表現している。とりわけラストのセリフの重みは、岸本でないと出せなかっただろう。

なお、本作では、寡黙な西や大杉たちとは対照的に、個性的なコメディリリーフ(ほとんどがたけし軍団)が登場する。中でも印象的なのは、スクラップ屋の店主役の渡辺哲だろう。北野作品では『ソナチネ』などにも出演している渡辺だが、本作ではコントさながらの振り切った掛け合いで作品を盛り上げてくれている。

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