ホーム » 投稿 » 日本映画 » レビュー » 北野武の集大成…ラストシーンの意味とは? なぜ自決? 映画『HANA-BI』徹底考察。海外の反応と評価も深掘り解説 » Page 7

抒情的で美しいストリングスの旋律ー音楽の魅力

久石譲
久石譲Getty Images

本作の音楽を担当するのは、『あの夏、一番静かな海。』(1991年)依頼長年にわたって北野作品の音楽を担当してきた久石譲だ。本来はミニマルミュージックを本領とする久石だが、本作では、ストリングスの音色が印象的な抒情性豊かな楽曲を提供。悲しくも美しい旋律で作中に頻出する暴力表現との対比を際立たせている。

「Sea of Blue」は、車椅子の堀部と西が海を流れながら会話するシーンで流れる楽曲。流れるようなピアノの音色と泣くようなハーモニカの音色が観客の哀愁を誘う。なお、西と美幸が車内で遊ぶシーンで流れる「Smile and Smile」でも、途中で海を流れる堀部のパートに切り替わり、ストリングスからピアノとハーモニカが中心の音色に切り替わる。

そして最も象徴的な楽曲が、ラストシーンで流れる「Thank You,…for Everything」だろう。伸びやかながら哀愁に満ちたストリングスやオーボエの音色が印象的なこの曲は、波の音や美幸のセリフ、そして最後の銃声も込みではじめて成立するように設計されている。

【関連記事】
邦画史上に残る名ラスト…2人のその後とは? 映画『キッズ・リターン』徹底考察。珠玉の名言に込められた深い意味&楽曲も解説
「やめてくださいよ」の殺人シーンがヤバすぎる…映画『ソナチネ』を徹底考察。 北野バイオレンス最高傑作、鮮烈なラストとは?
映画史に輝く傑作密室劇…日本版&リメイク版との違いは? 『十二人の怒れる男』徹底考察。陪審員を描き分ける演出と名言も解説

1 2 3 4 5 6 7
error: Content is protected !!