中村倫也と川口春奈の”瞳”の演技がスゴい!
物語の結末とともに目が離せないのが、中村倫也と川口春奈をはじめとする俳優陣の好演だ。
近年テレビドラマでは、『凪のお暇』や『この恋あたためますか』(いずれもTBS系)での大人の余裕と独特の色気を湛えた役柄や、『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)、『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系)でのクセのある役に配されることが多かった中村だが、今作ではどこか流されやすさのある人物を演じる。
これはこれで新鮮だったが、放火事件がどんどん核心に迫るにつれ、中村演じる三馬の眼に強い光が宿るようになってきた。このグラデーションこそ、演技巧者である中村の真骨頂といえるだろう。
幼いころに「ハヤブサを守る」と話していたらしいあの純粋さをそのままに、三馬がどのような眼で事件のその先を見通すのかに注目だ。
一方の川口も、どちらかといえば『大河ドラマ 麒麟がくる』(NHK)や『着飾る恋には理由があって』(TBS系)など、気の強い役を躍動感をもって演じることが多い俳優といえるだろう。それが今作では、儚げでミステリアスな女性を見事に表現している。
この人に近寄ったらいけないと全細胞が警鐘を鳴らしている気がするのに、なぜか放っておけない。それは川口の大きな瞳が黒く沈んだり、薄く微笑む様に色気が宿ったり、形が定まらぬままその実態を掴み取れないからなのではないか。
もちろん、梶原善、橋本じゅん、生瀬勝久という日本を代表する名バイプレイヤーたちの熱演にも注目だ。彼らにとってハヤブサは幼いころから慣れ親しんだ大事な土地。そこで起きた同胞の命をも奪っていった事件と、どのように対峙するのか。三者三様の表情を目に焼き付けたい。
引っ越し直後に三馬の家のポストに投じられたシャクナゲの花。花言葉は「警戒」だった。誰が何のために贈ったものなのかはまだ明らかになっていないが、三馬の身に危険が迫るような結末にはなってほしくないと願うばかりだ。
(文=あまのさき)
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