主人公たちに差し込む光…めいたもの
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映画の中で、沙緒里たちの前に光が差し込む瞬間が何度かある。光、それは「状況が好転する気配」であり、本作の場合は「娘が見つかるかもしれない希望」だ。画面の中の母親と同じように、私たち観客も「お! 美羽ちゃん見つかりそうじゃん!」と、そのあと訪れるであろうポジティブな展開に期待する。
沙緒里のSNSに届いた「有力な情報を知っている」というDM、沙緒里のもとにかかってくる「娘が保護された」という電話、弟が仕事先で見かけた不自然に顔を隠した女の子と歩く怪しい男…差し込んだ事件の解決の糸口になるかもしれない「光」は、ことごとく彼らを裏切る。
藁をもすがる思いで飛びついた「光」は全て、顔も知らない誰かのいたずらや嫌がらせだったり、その先にさらに酷い世の中が待ち構えていたりする。さながら、ライトトラップ(光で誘き寄せて虫を捕獲する手法)のように、光は彼らを弄ぶ。
試写会で配布された第2弾のチラシで、コピーは次のように変わっていた。
「わたしたちは、心を失くしてしまったのか?」