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吉沢亮の”闇堕ち”ぶりに唖然。感動作だと思っていたらまさかの…? 映画『かぞく』考察&評価。劇場で観るべき理由も解説

吉沢亮、小栗旬、永瀬正敏、阿部進之介という豪華キャストが起用され、松本大洋を初め多くの漫画家が影響を受けた、伝説の漫画家・土田世紀の未完作品を実写した映画『かぞく』。今回は、第36回東京国際映画祭でいち早く上映された本作のレビューをお届けする。(文・タナカシカ)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

覗き見て分かる「家族像」

© 土田世紀/日本文芸社・アニプレックス
© 土田世紀日本文芸社アニプレックス

父親が失踪し、母親と2人で新しい街へ向かうマコト(吉沢亮)。秘密を抱える内縁の妻と暮らすケンジ(永瀬正敏)。妻を亡くし、娘と妻の連れ子を育てるタケオ(小栗旬)。久しぶりに実家に戻ってきたユウイチ(阿部進之介)。4人の家族が、それぞれの喪失と再生を描く群像劇となっている。

監督・脚本・編集・衣装デザインを手掛けたのは、映画『十三人の刺客』、『るろうに剣心』の衣装デザイナーで、auのテレビCM『au 三太郎』シリーズではキャラクターデザインも手掛ける澤田石和寛。本作は彼の劇場用映画初監督作品だ。

家族をテーマにした映画作品は古今東西数多くあるが、それは家族の崩壊や、家族の団結などをテーマにした作品がほとんどだろう。しかし、今作は家族同士の会話がほぼ描かれることなく、4つの「かぞく」をただ覗き見している感覚にさせられるという点で、異色の作品となっている。

豪華キャストを起用しているのにも関わらず、都内で2館のみという公開規模から察することができるように、本作はかなり前衛的なアート映画である。心温まるストーリーを期待している人は、肩透かしを食らうかもしれない。

とはいえ、感覚にダイレクトに訴えかける描写が随所にあり、観ていてハッとさせられる作品でもある。ここでは、特に音響面に着目して魅力をひも解いていこう。

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