エンドロールの衝撃―音楽の魅力
本作で音楽が最も輝くのは、エンドロールだろう。マサルとシンジが自転車でクルクルと校庭を回り、あの名ゼリフをつぶやいた後、銃声のような効果音とともに意気揚々と本作のテーマ曲がドラマチックに流れ出す。この演出は、本作のラストが、あくまで二人にとって始まりに過ぎないことを表している。
一方、マサルとシンジが二人そろってジョギングをするシーンには、フィリップ・グラスを連想させるミニマルな音楽をつけており、往年の久石の作風を連想させる。
音楽を担当した久石譲は、本作が青春映画ということもあり、YAMAHAの「VP1」や「VL1」などのシンセサイザーを使用してユーロビートやディスコをベースとしたリズミカルな音楽を作曲。パーカッションはサンプリングが中心だが、必ず生音を潜ませることで、生の持っている人間臭さとシンセサイザーの無機質な音色を両立させている。
なお制作当時、久石は映画音楽の仕事を休止しており、本作が2年ぶりの映画音楽の仕事となった。そういった意味で、本作は北野だけでなく、久石にとっても「リターン」となる作品となった。
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