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敵である「鬼」の背景

撮影:武馬怜子
ワールドツアー上映鬼滅の刃絆の奇跡そして柱稽古へ初日舞台挨拶 撮影武馬怜子

また『鬼滅の刃』は「鬼たちのバックグラウンド」も注目ポイントだ。『鬼滅の刃』の根本的なテーマは「善悪とは何か」だと思う。鬼たちを「敵だから殺す」という単純な扱いにしていない。鬼にも複雑なコンプレックスがあり、本質的な課題はその背景にある……。

個人的には2013年度「新聞広告クリエーティブコンテスト」最優秀賞の作品を思い出す。鬼の子どものイラストと一緒に、「ボクのおとうさんは、桃太郎というやつに殺されました。」とキャッチコピーが書かれたものだ。 興味のある方は調べてみてほしい。

このテーマを描いた映画で真っ先に頭に浮かぶのは、ホアキン・フェニックスが演じた映画『ジョーカー』(2019) だろう。正義の味方・バットマンの敵であるジョーカーの背景を色濃く描いた。『鬼滅の刃』の第1シーズン と『ジョーカー』の公開年は両方とも2019年 だ。

膨大な情報が集まる社会のなかで、「善悪の判断」は複雑になっている。常に反対の立場、広い視点が必要になっている社会に、このテーマが受け入れられた。これもヒットの要因なのではないかと思う。

さて、作品的には、いよいよ敵総大将の鬼舞辻無惨と、炭治郎をはじめとした鬼殺隊との最終決戦に差し掛かかっていく。その前段階として、柱や鬼の魅力を発見する話が連続することだろう。

映画館で見れば、今春からの新シーズンが楽しみになること間違いなし。ファンの方は必見のシーンをぜひ劇場で鑑賞してほしい。

(文・ジュウ・ショ)

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