シリーズ最高傑作である理由③“尾到”の死亡シーンがとにかく泣ける
龐煖の手により重症となった信は、盟友であり「飛信隊」の仲間・尾到に抱えられ、その場から逃げることになる。そして、同じく重症である尾到と、草むらで2人寝転ぶ。
このシーンで2人は、お互いが出会ったころの想い出話をするのだが、尾到は、突然息を引き取り、信は驚く。…が、「な~んてな!」と起き上がる。尾到は死んだふりをしていたのだ。
それに対して、怒りながらも喜ぶ信。しかし、尾到は、再び眠りに入り、本当に息を引き取ってしまう…。
このシーンこそが、本作の一番の見どころだと、筆者は感じる。
親友の死に様を傍らで寝転びながら見守るというシチュエーションがとにかく秀逸である。
注目すべきは、尾到は、死ぬまでずっと低い声で話しているという点だ。この演出は見事である。
本当は虫の息であるにもかかわらず、尾到は友を心配させないために、最後まで声をかすれさせることなく、野太い声を発し続けていたのだと、観る者に推測させるからだ。
これは漫画では表現し得ない、実写版ならではの生々しさが伝わる名シーンであり、三浦貴大の演技力に感服する一幕であった。
信がいくら名を呼んでも尾到は起き上がらない。それでも名を呼び続ける。筆者はこのシーンであえなく落涙した。