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父親のキャラクター造形がツッコミどころ満載

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本作は豪華なキャスト陣と日本を代表するホラーの巨匠が手がけた作品だったのにも関わらず、初登場5位とイマイチな滑り出し。筆者が思うに、本作が観る者を困惑させるのは、以下の二つのポイントが大きいように思える。

まず、春翔のわがままというキャラクター性に少し苛立ってしまう。母親が居なくなってから父親との二人暮らしが始まるのだが、彼は父親や祖母の言うことを全く聞いてくれない。比呂子が春翔の考えを優しく諭そうとした際にも、聞く耳を持つどころか鋭い目つきで睨みを効かせる始末だ。

しかしこれは本質的な問題ではない。父・伊原は、母の復活を願って彼女の小指を埋め、盛り土に向かって必死に呪文を唱える息子のピュアな心を尊重しているつもりかもしれないが、それは単なる大人のエゴでしかない。普通に考えて、父親としてなすべきなのは、「そんなことしても母親は戻ってこない」と優しく諭してあげることではないだろうか。

つまるところ、子供に残酷なことをしていることに気付いていない父親が問題なのだ。彼は結局、息子に嘘をついたことを一度も謝ることはなく、終盤のシーンでは、死にゆく息子を前にして「俺が悪かった」と泣きわめく。しかし、筆者が見るかぎり、最後まで彼は自分の何が悪かったのか、心から理解しているようには到底思えなかった。

念のために言い添えておくと、直人を演じた重岡大毅は、誰も共感できないようなキャラクターに血を通わせるために、持てる力を目一杯注ぎ、誰が見ても恥ずかしくない名演を見せている。

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