「お前もかい!」と心の中で総ツッコミ
一方で傑作になった可能性も
ハッピーエンドに見せかけて、含みを持たせながらエンドロール、というのがホラー映画のあるあるだが、本作のラスト、父親が「エロイムエッサイム」と呟き続けるオチには、観客全員が「お前もかい!」と心の中で総ツッコミしたのではないだろうか。
しかし、先述した考察だと、春翔と血が繋がっている伊原直人が美雪の家系に介入し、怨霊(悪魔)の次の標的の犠牲になったということが考えられる。
キャラクター像のブレと、ホラー映画としてツッコミどころ満載の本作だが、人の執念の深さや脆さ、また宗教をモチーフにした意欲作であるからこそ、もう少しバックボーンが丁寧に描かれていれば傑作になったかもしれない…と悔やまれてならない。
何はともあれ、バラエティ番組の常連である橋本環奈、重岡大毅を含め、ファーストサマーウイカ、シソンヌ・長谷川、MEGUMI、清水ミチコなど、軽快なトークが特徴の方が多く出演しているため、現場では『上田と女が吠える夜』ならぬ、「シソンヌ・長谷川と女が吠える夜」が繰り広げられていたのでは? と思ってしまうくらい楽しい現場だったのではないかと予想する。
これからそのメンバー達が話す、撮影時の裏話に注目が集まりそうだ。
(文・タナカシカ)
【作品情報】
監督:中田秀夫
原作:清水カルマ
脚本:杉原憲明
企画・プロデュース:平野隆(「スマホを落としただけなのに」、「糸」、「ラーゲリより愛を込めて」)
出演:橋本環奈 重岡大毅(ジャニーズWEST)
堀田真由、倉悠貴、正垣湊都、猪塚健太、新納慎也・MEGUMI 清水ミチコ
長谷川忍(シソンヌ)、ファーストサマーウイカ、猪塚健太、新納槙也、諏訪太朗
2023年/日本/110分/PG12/配給:東映
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