秀逸なキャラクタービジュアルと声優の演技
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6期のエピソードゼロの位置付けとなっている。
鬼太郎が墓場で生まれたことや目玉おやじの存在を知ってはいても、父親がなぜ今の姿になったのか、母親は誰なのか知らない人も少なくない。
本作では鬼太郎の両親のかつての姿やその愛が描かれ、鬼太郎の父と深い関わりを持つこととなった“水木”という男にも焦点が当たる。
廃墟と化した哭倉村に鬼太郎と共に足を踏み入れた目玉おやじは、70年前にこの村で起きた出来事を思い返していた。時は昭和31年、龍賀一族の当主である時貞が亡くなり、帝国血液銀行に勤める水木はある秘密の命を受けて村へやって来る。
一方、鬼太郎の父は行方知れずとなっている妻を探すために村へと辿り着いた。
しかし、2人はその少し前に出会いを果たしている。水木が哭倉村へと向かう夜行列車のなかで鬼太郎の父は姿を見せていたのだ。
おどろおどろしさも交えた彼の佇まい、暗がりのなかで浮かび上がる印象的な登場シーンは観客の心を一気に惹きつけることとなった。
これから始まる物語でどんな恐ろしいことが起きるのか、2人がどのような関係を築くのか、鬼太郎の父と水木の出会いに不安と期待が膨らむ。
鬼太郎の父の声を関俊彦、水木の声を木内秀信が演じ、それぞれキャラクタービジュアルの秀逸さに加えて声や口調でも深みを出している。