コナンと怪盗キッドの戦いの始まり
本作の流れとしてはキッドが盗みに行く直前で、コナンと出会った事件や工藤新一と対決した事件、そして鈴木次郎吉と出会った事件の回想をしていくという展開だ。基本的には過去のアニメ放送エピソードの要点をまとめて流す形である。
雰囲気や構成はアニメ放送時とほぼ変わっておらず、声優も当時のままとなっている。なので、例えば毛利小五郎は現在の声優は小山力也氏だが、本作では当時の声優の神谷明氏の声になっている。また、一部に新規作画が加えられており、より画質が綺麗になっている。
本作のメインとなるエピソードは2つある。一つ目は怪盗キッドが工藤新一と対決した話だ。2001年に放送されたアニメ第219話『集められた名探偵!工藤新一VS怪盗キッド』の前半部分である。この話はコナンが幼児化する前の事件となっており、高校生の姿でキッドと対決する。
そもそも怪盗キッドは名探偵コナンの原作者である青山剛昌先生による漫画『まじっく快斗』の主人公である。『まじっく快斗』は名探偵コナンよりも連載開始が早く、名探偵コナンにはゲストキャラとして登場したのが始まりだった。
なおこのエピソードでは、名探偵コナンでは初めて怪盗キッド側のヒロインの中森青子なども登場するが、コナン本編ではいまだこのエピソード以外に登場していない。
キッドは持ち前の変装術で盗みを簡単に成功させられると余裕を見せていたが、警察に工藤新一が助言をしていたために変装を見破られてしまう。
キッドは警察がやけに鋭いことから何者かが助言したことを察するが、それが工藤新一であることまでは把握できずに終わる。そして、新一はキッドをあと一歩のところまで追い詰めるが、観衆に紛れて逃げられてしまったので、盗みを企てたのが怪盗キッドだということは知らなかった。
このエピソードでは怪盗キッドが時計台に埋め込まれた宝石を盗むという予告だったが、その真意は騒ぎを起こして時計台を警察に保護させて、悪いブローカーから守るというものだった。
キッドはその狙いを果たすことに成功し、新一も感服していた。キッドを追い詰めた新一と、追い詰められながらも目的を果たしたキッド。二人のハイレベルな戦いはここから始まっていたのだ。