従来作より大幅パワーアップした
「コワすぎ!」シリーズの最高傑作
本作『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』は、遥(福永朱梨)、絢音(小倉綾乃)、大輝(梁瀬泰希)の3人が心霊スポットの廃墟に足を踏み入れるシーンからはじまる。
TikTokでバズることを目的に、廃墟の地下にある祭壇を破壊した3人。そんな彼らの前に、突然、全身血まみれで刃物を持った「赤い女」が現れる。
全速力で追いかけてくる「赤い女」からなんとか逃げおおせた彼らだったが、不法侵入や器物損壊のかどでアカウントは停止に。困った彼らは、コロナ禍で経営難に陥っていた工藤の会社に映像を送りつける。
そして、スクープ映像で一儲けをたくらむ市川は、市川や田代、そして霊能力者の鬼村伊三(木村圭作)とともに、一路廃墟へと向かう。
あらすじからも分かるように、2023年版では、フェイクドキュメンタリーならではの面白さや「コワすぎ!」ファンにはおなじみのメンバーといった従来作の特徴を踏まえつつ、TikTokやスマートフォン、そしてハラスメントの問題など、現代的なモチーフがふんだんに持ち込まれ、大幅にアップデートしているのが特徴だ。
加えて、怪異の原因が工藤に帰結する点にも注目だろう。
例えば、2014年公開の『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』では、工藤の父親が実は通り魔で殺されていたことが明らかになるが、この通り魔が実は成長した工藤自身で会ったことが明らかになる。
つまり、本シリーズは、工藤自身が自身のダークな部分に向き合い、克服する成長物語でもあるのだ。