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戦国武将のセクシャルな関係

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2017年公開の『アウトレイジ 最終章』以来、実に6年ぶりとなる北野武監督最新作である『首』は、信長の忠実な家臣であった荒木村重(遠藤憲一)の裏切りをめぐる騒動から幕を開ける。

信長から村重討伐の命を受けた明智光秀は、彼を捕らえることに成功するが、殺すことはせず、彼を別室に囲い、愛を交わす。思い返せば、監督第二作『3-4X10月』(1990)では、北野演じるヤクザが渡嘉敷勝男演じる子分を無理やり犯そうとするシーンがあった。しかし、この場面はあくまでギャグとして撮られており、北野武が本格的な男性同士のラブシーンを描くのは、本作が初めてだと思われる。

明智光秀に先んじて信長に反旗を翻した戦国武将であるにもかかわらず、日本史に埋もれた存在である荒木村重を物語のキーパーソンに抜擢した北野は、想像力の羽を伸ばし、「本能寺の変」として結実する明智の信長殺害の欲望が、「愛し合う2人の男(明智&村重)が寝室で交わす会話(ピロートーク)によって醸成された」という大胆な新説を提示し、観る者を驚かせると同時に困惑もさせる。

さらに興味深いことに、信長から刃を突きつけられた明智は信長への愛を吐露し、憎悪の裏に秘められた恋愛感情が明らかになる。のちのシーンで明智は、信長に殺されたくないがために「ウソをついた」と村重に打ち明けるが、告白シーンにおける明智の表情からは、恐怖心よりも、殺される前に“本当の気持ちを吐露しよう”という覚悟がにじみ出ていたように、筆者の目には映った。

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