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無駄な説明一切なしの分かりやすい物語運び

©塚原重義/クラガリ映畫協會
©塚原重義クラガリ映畫協會

そんな背景もあり、期待しながら座席に座った。冒頭10分でまず感じたのは「あっという間に時間が過ぎる作品」という印象だ。とにかくテンポがいい。BPM250くらいある。

今作は61分の作品だが、体感では30分くらいに感じた。それほど没入できる作品だ。テンポの良さを裏付ける要因はいくつかある。まずは「場面を大胆に切り替える演出」だ。

主人公の探偵・荘太郎の自堕落っぷりを映したかと思えば、すぐに居酒屋でのジャーナリストとの会話に移り、情報屋・サキに仕事を依頼した数分後には彼女が失踪し、物語は本筋に突入する…。

とにかく構図の切り替えが大胆だ。無駄な説明っぽさがなく、あっという間にストーリーが進む。いわゆる“江戸っ子っぽい”というか、全体を通してさっぱりしているので、見ていて気持ちがいい。

それでいて「このキャラクターはどんな人なんだろう」という疑問を抱かせないのが素晴らしい。

後述するが、各キャラクターの役割・個性がわかりやすいので、このテンポで描いても作品内容を深く理解できるのだろう。

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