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塚原重義監督の唯一無二の世界観

©塚原重義/クラガリ映畫協會
©塚原重義クラガリ映畫協會

また「大正レトロ」と「SFメカ」が混ざったようなスチームパンクの世界観が見ていて楽しい。塚原重義氏のファン、過去作を鑑賞済みの方はピンと来るだろうが、彼の得意な世界観だ。

全編を通して、弁士が背景や状況を節を付けたリズムで紹介する。

絵には独特のモヤがかかっており、建物は折り重なって生え、どこか香港の九龍城砦を思わせる。そこをカエルのような足が生えた近未来のメカが闊歩する。

今作を含め、塚原監督の世界観は唯一無二だ。ただ「大正浪漫でノスタルジック」というだけではない。音や画面、小物類によってレトロな雰囲気を充満させたうえで、CGを駆使して近未来の兵器を描く。この描写は老若男女問わず、観客の“男の子”の部分をわくわくさせてくれる。

今作の主人公・荘太郎の声は、講談師・神田伯山氏が担当した。筆者は神田氏の講談を見にいったことがあるが、まさにこの作品にぴったりだったと思う。声に色気があり、声優としてすごく上手なのはいうまでもないが、ときおり講談を聞いているような節のある語り口調を発揮する。こんな芸当は神田伯山にしかできない。

荘太郎をはじめ、サキ、タンネ、トメオミ、班長などのキャラクターがパキッと分かりやすかったのもおもしろかった。先述した通り、このハイテンポで物語に説得力を持たせるために、“尖ったキャラクター”は必要不可欠だったと思う。

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