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鑑賞料金一律1700円を払う価値は十二分にあり

映画『ルックバック』
© 藤本タツキ/集英社 © 2024「ルックバック」製作委員会

 鑑賞料金一律1700円。

 この値段は、『ルックバック』を劇場で鑑賞する際に必要な料金で、学生割引やシニア割等、各種割引が適用されないことを意味している。大学生である筆者は普段、学生料金1500円で映画を鑑賞しているため、他の映画に比べて200円多く支払ったことになる。

 原作者である藤本が書き下ろした原作ネームがそのまま収録された入場者特典が入手できるということもあり、異例の料金設定を素直に受け入れる年若い原作ファンがいる一方、普段より高い料金を支払うことに抵抗感を覚え、「配信待ち」に徹する若年層は少なくないのではないかと、公開前は予想していたのだった。

 しかし、いざ公開初日(6月28日)に劇場に足を運ぶと、観客のほとんどが30代以下の若者であり、その中には筆者と同世代の男女も多く見受けられたのが印象的であった。

 監督やスタッフの制作秘話インタビューなどを読むたび、作品にかける尋常じゃない労力と特別な思いが伝わってくる本作。上映時間は58分と短いが、鑑賞後の満足度は凡百の長編映画の比ではない。学生の身でありながら、1700円では安いとさえ感じてしまった。

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