SnowManの圧倒的陽キャが魅せた”瞳”
そんな本作の要となっているのが、なんといっても佐久間大介演じる吐夢だ。今さら説明する必要もないと思うが、普段はSnow Manのメンバーとして活躍している佐久間。正直なところ、筆者はそこまでアイドルに詳しくはない。
それでも彼のことは知っている。バラエティ番組などで見せる、親しみ溢れる雰囲気、アニメや漫画を語る時のハイテンションぶり、本人の印象に合ったトレードマークのピンクヘア、弾ける笑顔が印象的だ。
本作ではそれらを一切封印。真逆とも言えるキャラクターに扮しており、思わず「本当に同一人物?」と疑ってしまった。金髪に全身黒で固めた服装を纏う姿はどこか儚げ。
そして、注目したいのがその“瞳”だ。
人はここまで感情という感情を消すことができるのかと驚くほどに虚ろで、それでいて一度見たら目が離せないような引きがある。
吐夢というキャラクターを一言で説明するならば、“ヤンデレ”だろうか。やっていることは罪に問われる行為でただのストーカーだが、本人にとっては愛情表現のつもりでしかなく、本人に悪いことだという自覚はない。
その狂気の中にある、ある種の純粋さを佐久間は体現している。だから吐夢が愛らしく見える瞬間も多々あって、それが逆に恐ろしい。
吐夢は深海に似ている。何が潜んでいるかもわからないくらいに真っ暗で、静かで、恐ろしいのに、どこか興味を惹かれる。そして入ったら最後、息もできず溺れて、どんどん奥深くに引きずり込まれていくような……。そんな佐久間の深海的魅力をぜひ味わってほしい。