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正反対のキャラクターを演じ分けるムロツヨシ

北村一輝【Getty Images】
北村一輝Getty Images

2人は、それぞれの身内や幕府を欺くための完璧な筋書きを描くが、こと実行に移すと、計画通りにはいかない。いよいよ追い詰められる2人…。そこに“奇跡”が訪れる。

脚本も担当した原作者・土橋章宏と河合勇人監督の『忠臣蔵』という日本人なら誰でも知っている作品へのリスペストを感じさせながらも、思い切りコメディーに振り切った本作。

正反対の性格の上野介と孝証をムロツヨシが1人2役で演じ切っただけでも見どころであることに違いないが、加えて、武士としてのプライドと部下の思いの狭間で揺れ動く内蔵助を永山瑛太が好演。さらに、突然、殿に担ぎ出され困惑する孝証を支え続け、いつしか孝証も思いを寄せる侍女の桔梗役の川口春奈が、ストーリーに花を添えている。

それにつけても、ムロツヨシという才能は無限なのではないかと思えるほどの快演を見せている。貧乏僧侶の頃の孝証のいい加減さと無鉄砲ぶり、上野介の替え玉にされた後の困惑と哀愁、さらに上野介の横暴ぶり…全てをパーフェクトに演じ分けている。

ストーリーの途中で、落としどころはおおよそ勘付いてしまうが、逆にそれを見越したかのような、ドタバタ劇が始まり、爆笑のうちにクライマックスを迎える。

笑いに始まり笑いに終わる、まさに“ザ・娯楽作”と断言できる作品だった。

(文・寺島武志)

【作品概要】
監督:河合勇人
原作:土橋章宏「身代わり忠臣蔵」(幻冬舎文庫)
脚本:土橋章宏
企画・プロデュース:橋本恵一
プロデューサー:森田美桜、福島一貴
製作幹事・配給:東映
出演:ムロツヨシ、永山瑛太、川口春奈、林遣都、北村一輝、柄本明、野波麻帆、尾上右近、橋本マナミ、寛一郎、森崎ウィン、本多力、星田英利、板垣瑞生、廣瀬智紀、濱津隆之、加藤小夏、野村康太、入江甚儀
ナレーション:森七菜
©2024「身代わり忠臣蔵」製作委員会
2024/日本/119分/カラー/G
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