予想外の展開が待つ新しいコメディ映画
先ごろの、イギリスやフランスで政権を揺るがした総選挙や、候補者が濫立し当選者が確定した後も話題が尽きない日本の東京都知事選、そして佳境に入ったアメリカ大統領選挙など、国内外の大型選挙の様相とそれがもたらす熱狂と混乱を、我々は目の当たりにしている。
そんな現実を踏まえた上で、本作の終盤の展開を思い返してみると妙に現実的で生々しい感情が芽生えてくる。
映画の前半がメタ的なギャグを交えた徹底した笑いで構成されたこともあって、後半の展開の急激な方向転換には驚かされた。
映画のエンディングでは、現在の政治状況に対する国民の想いが吐露され、笑うつもりで見に来た観客は、深く考えさせられること請け合いだろう。
武内英樹監督は、笑いに特化した映画『テルマエ・ロマエ』シリーズと『翔んで埼玉』シリーズという計4作の作品を作り続けてきたキャリアという貯金を使って、『もしも徳川家康が総理大臣になったら』という映画を意想外の一品に仕上げたのだ。
歴史上の偉人のパブリックイメージを使った単純なコメディ映画と思っているとサプライズが待ち受けている。想定外のカウンターパンチが魅力の一作だ。
(文:村松健太郎)
【作品情報】
『もしも徳川家康が総理大臣になったら』
監督:武内英樹
出演:浜辺美波 赤楚衛二
GACKT 髙嶋政宏 江口のりこ
池田鉄洋 音尾琢真 小手伸也 長井短
観月ありさ 竹中直人
野村萬斎
Ⓒ2024「もしも徳川家康が総理大臣になったら」製作委員会
7月26日(金)公開中
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