ぶつかり合う正義
志野は、哲雄の妻・歌仙(木村多江)と息子の明(石塚錬)を人質に取り、10億円と引き換えに、哲雄を密室に追い込む。逃亡する中で、既に傷だらけの体の哲雄は、ともに閉じ込められた零花とともに、父娘ならではのコンビプレーでこの窮地を脱する。
この伏線は、毎年恒例の鳥栖一家の家族旅行で、幼かったころの零花の思い出がヒントとなっている。なかなか手の込んだ仕掛けだ。
志野との対決の中で、哲雄は正義を叫ぶが、一方の志野も、その思いは同じなのだ。かつて娘が命の危険にさらされた哲雄だが、志野は家族同然の仲間を殺されている。志野とて彼なりの“正義”に従って行動していたのだ。
半グレ集団から娘を守るために殺人を犯した哲雄は最後、その愛する娘から、涙ながらに手錠を掛けられる。そして刑務所内、哲雄が家族から届いた手紙を読むシーンで、7年越しの物語は終わる。
基本的には、娘への可愛さ余って人を殺めてしまうサスペンスドラマで、アクションシーンも本格的なのものだが、突飛なストーリーと、オーバーアクションなまでのキャストの演技によって、どこかコメディー色も帯びている本作。
しかし「完結編」と銘打っただけに、哲雄が服役しているにもかかわらず、ありふれる家族愛に満ちた“ハッピーエンド”で締められている。