事件は無事に解決
しかしシンデレラに救いの手は…?
最終的に、赤ずきんが、舞踏会の場で、ハンス殺しの犯人を推理する。
…このあたりのくだりは、『古畑任三郎』や『ガリレオ』などのオマージュなのだろうか(バックで流れているBGMもそれっぽい)。しかし致命的なのは、名探偵ポジションの主役である赤ずきんが、いくら流暢に謎解きの説明をしても、まったく「そういうことだったのか! 」感がないこと。彼女の説明を聞いて、むしろ「ん!? どういうことなの? 」と、トリックがトリックになっていないと思わざるを得ないといった感想が正直なところだ。
物語の終盤についても言及しよう。
先述したとおり、王子は城の召使であるカーレンのことを愛している。彼女は、シンデレラたちと同じようにハンスの被害に遭い、髪を切るハサミで顔に傷を負う。しかし、それでも清らかな心を持ち続けていたため、最終的には王子に選ばれる。そして結局、シンデレラは選ばれることはない。
そう、このお話、シンデレラに全く救いがないのである。本作のシンデレラは、おとぎ話のように心が美しいと言い難い面があることは認めよう。しかし、それまでいじめられ、蔑まれてきたシンデレラに対して、もう少し救いの手を差し伸べてあげてもいいのではないだろうか。
そもそも、赤ずきんも、あんた、人としてどうなんだよ!? 問題である。振り返ってみれば、「赤ずきんも、乗っていた馬車でハンスを轢いてしまった後、死体を隠そうと悪知恵働かせて、シンデレラと一緒に隠蔽しているため、「何、したり顔で偉そうに謎解きしてるんじゃ!」という話なわけで。お前も、犯人隠避罪やで! と誰しもがつっこまざるを得ない。