伊勢谷友介が何度も殺される…不覚にも笑ってしまう理由とは? 『ペナルティループ』考察&評価。ループ映画の新たな傑作を解説
「主人公が復讐のループを自ら選択する」若葉竜也主演の映画『ペナルティループ』が公開中。従来の「ループもの」に一石を投じた本作を、「ループ」が主人公にもたらす役割を考察するとともに、コントとして「ループ」を落とし込んだ芸人たちの至極ネタを5本紹介する。(文・前田知礼)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール】
前田知礼(まえだとものり)1998年広島県生まれ。2021年に日本大学芸術学部放送科学科を卒業。制作会社で助監督を経て書いたnote「『古畑任三郎vs霜降り明星』の脚本を全部書く」がきっかけで放送作家に。現在はダウ90000、マリマリマリーの構成スタッフとして活動。ドラマ「僕たちの校内放送」(フジテレビ系)、「スチブラハウス」(日本テレビ系)の脚本を担当。趣味で、Instagramのストーリーズ投稿で映画の感想をまとめている。
今「ループもの」に一石を投じる
映画『ペナルティループ』を紹介している記事を読むと、「異色のループもの」という言葉を見つけてハッとした。確かに「時間がループする」という異色な設定も、量産されることでジャンル化して「ループもの」という言葉まで生まれるようになった。
それに伴って、私たち観客もただループするだけでは飽き足らず、「時間が繰り返す→解決の糸口発見→ループから脱出」という何度も何度も繰り返し描かれたプロットに、一工夫も二工夫も加えられた、「ないループもの」を欲すようになってしまった。
最近のループものの映画を振り返ってもそうだ。ノンストップの2分間ワンカットを36回繰り返す『リバー、流れないでよ』(2023)、リゾート地で起こったループをバカンスとして満喫しちゃう『パーム・スプリングス』(2020)、1週間のループに気づいた社員たちが上司にそれ伝えようと奮闘する社畜系説得ループコメディ『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022)と、ヒットしたループもの映画には常に他にはない「新しさ」がある。
そして、今回取り上げる映画『ペナルティループ』の監督・脚本を務めた荒木伸二氏も「これ以上のループものでは出てこない、というものを作りたい」とインタビューで語っている。