ループ内での「軽い死」と恋人の死という「巨大な喪失」
ループものは「どうせ時間が繰り返すから」と、いとも簡単に人が死ぬ。特に、ある程度ループに慣れてきた頃あたりから、命を無駄にしがちだ。
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)も『ハッピー・デス・デイ』(2019)も、ループを繰り返す中で「そう死ぬんかい大喜利」になっていく傾向がある。実に不謹慎だが、「命を大切にしましょう」という私たちの絶対的な価値観がそのままフリになっているから、不覚にも笑ってしまう。
その面白は『ペナルティループ』にも健在で、溝口が何度も殺される様が滑稽なのはもちろん、間違えて殺されちゃう女性従業員(うらじぬの)の巻き込まれっぷりも最高に面白い。
そして、今作の魅力はそれが単なるギャグではなく、「殺された恋人」という二度と変わらない過去との対比になっている点だろう。ループ内での「軽い死」が、恋人の死という「巨大な喪失」を一層際立たせている。