お笑い×「ループもの」の強さ
③メンバー『しりとり』(2022)
広島よしもと所属の歌ネタ漫才師・メンバーの代表作で、しりとりの「りんご→ゴリラ→ラッパ→パセリ」から抜け出せなるループもの。りんご以外から始める、パセリ禁止にする、「り」ではなく「し」から始めるなど、あらゆる手段を試して「りんご〜パセリ」のループから抜け出そうと奮闘する姿が3分の漫才に凝縮されている。「トマト」を繰り返すショートスパンのループもこの漫才の見どころの一つだ。
④ジャルジャル『仕上げにオールバックされるのが嫌すぎてタイムリープするやつ』(2021)
YouTube「ジャルジャルアイランド」で公開された、美容室で仕上げにオールバックにされるたびに、整髪料をつける前に時間が戻るループもの。整髪料を断っても、強引に会計を済ませようとしても、必ずきつめのオールバックにされてしまい、「最悪やー!」の叫ぶと共に時間が戻る。美容師側に毎回オールバックにしている自覚がないのがまた厄介だ。
脚本は、アニメ『四畳半神話大系』(2010)や、舞台『出てこようとしてるトロンプルイユ』(2017)、『リバー、流れないでよ』などのループものを手掛けたヨーロッパ企画の上田誠。
⑤粗品『霜降り明星・粗品が今一番やりたい企画TV〜R1ぐらんぷり2019優勝者特番〜』(2019)
「粗品のツッコミ辞典を作ろう」という企画のもとで行われる商店街ロケが、マッサージ店で顔に布をかけられるたびにロケ冒頭に戻るループもの。商店街も店の人も話しかけられる言葉も全て同じ。1周目と2周目は放送内容もほぼ同じだったので、視聴者も困惑する。そして、異変に気付いた粗品は、ループを抜け出すために「50音のツッコミ辞典」を完成させていく。BGMにまで工夫が凝らされた、驚異の完成度のタイムループバラエティだ。
このように、ドラマ、映画、アニメ、お笑いと「ループもの」は姿形を変えてあらゆるフォーマットで作られている。常に「ないループ」を探している映画ファンの皆様、まだ見ぬ新しいループに出会いたいそこのあなた、ぜひ映画館で『ペナルティループ』を観てはいかがだろうか。
(文・前田知礼)
【作品情報】
タイトル:『ペナルティループ』
監督:荒木伸二
脚本:荒木伸二
出演:若葉竜也、伊勢谷友介、山下リオ、ジン・デヨン、松浦祐也 うらじぬの 澁谷麻美 川村紗也 夙川アトム
製作総指揮:木下直哉 プロデューサー:武部由実子 アソシエイトプロデューサー:椎井友紀子
音楽:渡邊崇 音楽プロデューサー:緑川徹
撮影:渡邉寿岳 照明:水瀬貴寛 音響:黄永昌 美術:杉本亮 装飾:山川邦彦
スタイリスト:伊賀大介 ヘアメイク:大宅理絵 編集:早野亮
助監督:甲斐聖太郎 製作担当:松田憲一良 アシスタントプロデューサー:座喜味香苗
製作:木下グループ 制作・配給:キノフィルムズ
© 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS
上映時間:99分
3月22日(金)新宿武蔵野館、池袋シネマ・ロサほか全国公開
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