斬られ役界のレジェンド・峰蘭太郎
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“斬られ役”とは、その名のとおり、時代劇で主役やメインキャラクターに斬られる役だ。たとえば『暴れん坊将軍』で松平健演じる徳川吉宗がバッサバッサと敵を斬っていく。そのときに斬られる人たちだ。
彼らの斬られ方によって、主人公の剣の腕前が左右されるから責任は重大だ。斬られ役がイマイチであれば、時代劇の最大の見せ場である立ち回り(殺陣)が決まらない。
実は、主役を張る役者は誰でも殺陣が上手いわけではない。若くして抜擢された俳優は不慣れな場合も多く、初心者であることも珍しくない。
そのときに斬られ役の役者が、いかに苦しみ、悶えて倒れていくか。彼らの技術で、不慣れなヒーローでもまるで剣の達人に見えてしまうのだ。
『侍タイムスリッパー』には、そんな斬られ役で有名な“本物”が登場する。殺陣師・関本役のレジェンド、峰蘭太郎である。
峰は往年の時代劇スーパースター・大川橋蔵(1929〜1984)の弟子であり、時代劇を見ていれば、敵の中に彼の顔を見ないことはほとんどない。なんといっても、高橋英樹ら現役のスターから指名が入るほどの大ベテランだ。
会津藩士の高坂は、この峰(関本)に斬られ役として弟子入りをするのだから、時代劇ファンにとっては面白いことこの上ない。
ちなみに斬られ役については、映画『太秦ライムライト』(2014)も参考になるのでぜひチェックしてほしい。ここでは語らないが、『侍タイムスリッパー』にとっても重要な人物、福本清三の初主演作である。殺陣師・関本のモデルであり、伝説の斬られ役俳優だ。