時代劇スターたちへの愛の結論
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すべては書き切れないが、作品から溢れ出る時代劇愛は鮮烈だ。
なかでも『世直し侍 心配無用ノ介』の主役・錦京太郎を演じる田村ツトムが、筆者との対話で興味深いことを教えてくれた。
これまでエンタメ作品で描かれるスターの姿は、プライドだけが高く実力がなかったり、女にだらしなかったりと、 “ダメ”で小馬鹿に描かれることも多い。
しかし、田村が演じる錦京太郎は違う。面白く個性的なので“ダメ”なタイプのように見える瞬間もあるのだが、実際は太っ腹で後輩を可愛がり、先輩をリスペクトしている。だらしない姿は登場しない。
これについて田村は、「確かにそういうキャラクターも多いですね。でも時代劇を愛するこの作品には、相応しくないと思いました」と答えた。
筆者もラジオやプライベートで主演を張る時代劇俳優と向き合ってきたが、あの“ダメ”なスター像に近い俳優はいない。それもそうである。人としての器が大きくなければ、大所帯のスタッフや出演者を引っ張り、大御所のゲスト俳優を迎える座長など務まるはずもない。
リアルな現場を描く作品で、レギュラー作品の主演を張っている錦京太郎を“ダメ”な姿で描いては、時代劇へのリスペクトがなくなる。
これが役者・田村にとっての、先達の時代劇スターたちへの愛の結論だ。