カオスの様相を呈した沖縄県知事選
参院選の取材を終えた畠山は、その直後の沖縄県知事選の取材へ向かう。「今度こそ本当に最後」と決意し、3週間もの滞在で選挙戦を取材する。選挙の度に県を二分する、沖縄県民にとっては一大イベントだ。
その争点が「普天間基地」であることは言うまでもないだろう。「沖縄タイムス」と「琉球新報」の沖縄2大紙も、全国紙とは全く異なる論調で、“オール沖縄”を演出する一方で、対立を煽っている側面もある独特の土地柄だ。
畠山は沖縄で、選挙への高い参加意識を持つ有権者との出会いを通じて、民主主義の在り方について思い至る。
一方で、沖縄の選挙は“何でもアリ”の側面も有している。そこら中に候補者な名前入りののぼりが立てられているのだ。本作を見るまで筆者も知らなかったが、この行為は公職選挙法違反となるのだ。
こうした行為を現職である玉城デニー陣営も平気で行っているのが、沖縄の選挙なのだ。そして、のぼりを見かける度に警察に通報する若者も現れ、カオスの様相を呈する。ある県民によれば、米国の統治下にあった時代の名残だという。
当然ここでも、畠山は「候補者全員取材」のモットーを胸に取材を続ける。
しかし作中では、現職の玉城氏、自公の推薦を受けた佐喜眞淳氏よりも、自民党、民主党、国民新党などを渡り歩き、衆院議員を6期務め、何度も入閣した経験を持つが、この選挙では無所属で出馬した下地幹郎氏の活動に多くに時間を割き、密着している。
自転車を駆り、その輝かしい経歴からは考えられないようなドブ板選挙活動に、畠山はカメラとともに追い続ける。その結果、玉城氏と佐喜眞氏のデッドヒートの末、わずか6万票で玉城氏は再選を果たす。
一方、得票率約8%にとどまった下地氏は供託金を没収されてしまう…。