「モーメント・ビフォア」メソッドで難役を乗り越えた

milet 写真:wakaco
milet 写真:wakaco

―――milet さんは今回、初めて演技の仕事をするにあたり、準備はどのようにしていましたか?

「長いセリフもあるので、セリフ覚えを一生懸命やっていました。とにかくセリフを間違えないように、足を引っ張らないようにしなくてはと。演技については、どうなるかわからないから、撮影に飛び込んでやるしかないと思いました。

撮影序盤はリクとミナミの仲が良いところを切り取った点描のシーンだったので、セリフがなかったこともあり、比較的リラックスして臨めたと思います」

―――点描のシーンはリクとミナミが美しく、かつ、仲良しで、いい雰囲気でした。

「ミュージックビデオを撮影しているような感じでした。大体テーマは決まっていたのですが、自由度が高かったので、のびのび臨めました。これまでmiletとしてミュージックビデオを撮影してきた経験が活かされました」

―――リクのために音楽を諦めて彼を支える世界から、世界的なシンガーでリクのことを知らない世界という、ふたつの世界で生きるキャラクターを演じるのは難しかったと思いますが、苦労した点はありますか?

「今回、映画出演をいただいたタイミングから、演技レッスンを受けさせていただいたのですが、やはり演技そのものは難しかったです。実践だけでなく座学でも学んだので、少し理論派なところもあると思います。演技はフィーリングでできる器用な人もいると思うのですが、理論派タイプの私はそれができない…。でも、教えていただいて大切にしていることがあって、それは“モーメント・ビフォア”というメソッドです。

演じる人物はどういう感情を抱いて、どういう動きをしていたのか、シーンの前に起きている台本に書かれていないことをイメージするというこの方法がミナミの芝居に生きたかもしれません。ミナミが私に近い人物だったから、シーンの前の気持ちもイメージしやすく、自分らしく流れを掴むことができたのかなと。そうやって演じながら作り上げていきました」

―――miletさんにとって“これは難しい挑戦だ”と思えるシーンはありましたか?

「ミナミがリクの執筆した小説を読んで、涙を流すシーンですね。自分は泣けるだろうかと不安だったんです。涙を流す練習もしてみたけれど、感情が伴っていない気がして、不安な気持ちのまま撮影を迎えました。でもちゃんと一発で涙が出たんです! 私はすごくミナミに共感しているんだ、ちゃんと役に寄り添えているんだと、とてもうれしかったです」

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