「ずっと煙草を吸い続けてきた自分が活きている」
喫煙シーンに込めた思いとは
―――何も話さず、煙草を吸うだけのシーンが多くあったのが、印象的でした。
「おお、そこに注目してくれたのは、嬉しいね~(笑)。
う~ん、最近は映画の中で煙草を吸うシーンすら、コンプライアンスだなんだで減ってきて、寂しいんだよねえ。昔は、日本人も80%位、大人の男は吸っていたわけだし。
僕が憧れていた俳優で言うとね。ジャン・ギャバンやアラン・ドロンとかがさ、煙草をこう、咥えている、仕草が非常にかっこよかったわけだよ」
―――煙草を吸うって、入口は、その仕草のカッコよさへの憧れかもしれませんね。
「そうそう。僕の時代は特にさ、思春期の男の子が何とかして、カッコいい大人になりたいって思いが強かったから、親父のタバコ盗んで吸っていたりね。まあ、そんなころから、『もう止めた!』を50回くらい繰り返して、まだ、吸っているんだよな(笑)」
―――アハハ! ほぼ、止めてない人生ですよね。
「でもね、この作品ではずっと煙草を吸い続けてきた自分が活きているなと。煙が漂って、ずっと霞のように動かない感じなんかは、愛煙者ならでのドラマチック性を出せたと自負していますよ。煙草を吸うシーンと雨が降るシーンは、個人的に情緒を感じてほしい場面として好きです」