「肉体が滅びたからといって、魂が消滅するとは思いたくない」
死生観について
―――今作では、死後の世界も重要な舞台となっていますが、西岡さんは、死後の世界というのは、あると思いますか?
「あると思いますよ。輪廻転生というものを、割と信じているんです。10代のころ、親父に、『死んだらどうなる?』と質問したことがあったのですけど、『死んだら終わりだ。坊さんも言っていたよ』というのが答えでした。
でも、死んだらすべて終わりなんだったら、何で坊さんは供養するんだよと、疑問に思っていて。そこから、確かに肉体はない。でも、魂は残っているんじゃないかなというのが、僕の考えです。
だから、現世では忘れてしまっているけど、前世だってあるんだと思います。前世でよい繋がりがあった人とは、また巡り合えるともね」
―――量子力学の世界では、生物の意識は死後、別次元に飛ぶとも言われています。
「興味深いねえ。こんな誰が作ったかもわからない、奇跡的にできたような精密な人間の肉体自体がすごいわけだからさ。だから、その反面、そんな肉体が滅びたからといって、魂そのものが消滅するとは、どうしても思いたくないんだよね」
―――そんな思考が、清にも反映されているのかなと、今、実感しました。
「個人的には、この作品を観て、そういったことを考えてもらってもいいんじゃないかなと思っていて。息子が生きていた、この3次元の話として観ても、死後の世界が4次元だとしたら、そう観てもらってもいいし、多次元的に観てもらいたいですね。一枚の絵が、見る日や見る角度によって、見え方が違ったりといった感覚とでも言うか。
この映画を撮ったのは、2017年と、結構前なので、僕自身が観ても見え方がその都度、違ってきています。映像は変わらないけど、観る度に違った感情が揺さぶられる。そんな映画に仕上がっていると思いますので、繰り返し味わってほしいですね」
(取材・文:ZAKKY)
【作品情報】
監督:イグナシオ・ルイス
出演:イシザキマサタカ、小澤征悦、西岡德馬、ダニエル・カンディア、ヒメナ・リバス
ニコラス・トロ、トーマス・シューラー、ニコル・ロメロ、南優、大久保運、森本のぶ、斎藤一平、本田章一、すぎやまたくや、大澤あけみ、山口みよ子
メインテーマ曲:mayo「KIZUNA」(ドリーミュージック)
後援:在日チリ大使館/協力:ラテンアメリカ協会、日本チリ協会、他
協賛:三菱商事、ニッスイ、メルシャン、西武鉄道、カールツァイス、paddle inc.
2022/日本・チリ/100分/カラー/ビスタサイズ2.35:1/日智修好120周年記念事業
2023年9月22日(金)池袋HUMAXシネマズ他、全国順次公開
【関連記事】
「役を演じるということはクリエイト」オムニバス映画『almost people』石井岳龍監督、主演・柳英里紗インタビュー
「主人の現場には映画の神様がいる」映画『こん、こん。』女優・遠藤久美子、インタビュー。スクリーンで魅せる唯一無二の存在感
「挫折の経験が自信につながった」映画『Love Will Tear Us Apart』女優・莉子、独占インタビュー