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「世界を明るく照らしたい」映画『ショータイム!』ジャン・ピエール=アメリス監督、単独インタビュー

text by 司馬宙

農場を改造し、キャバレーを作る―。そんなウソのような実話をもとにした娯楽映画『ショータイム!』が、12月1日より公開される。今回は、本作の監督であるジャン・ピエール=アメリス氏のインタビューをお届け。本作に込めた思いや撮影時のエピソードなど、幅広く伺った。(取材・文:司馬宙)

「世界を明るく照らしたい」
実話をもとにした”人情エンタテインメント”

© 2021 – ESCAZAL FILMS – TF1 STUDIO – APOLLO FILMS DISTRIBUTION – FRANCE 3 CINÉMA – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA
© 2021 ESCAZAL FILMS TF1 STUDIO APOLLO FILMS DISTRIBUTION FRANCE 3 CINÉMA AUVERGNE RHÔNE ALPES CINÉMA

――実話がもとになっているということですが、制作のきっかけはなんでしょうか。

直接のきっかけは、テレビでダヴィッド・コメットさんのルポルタージュを観たことですね。今、フランスの農業は、安価な農作物の流入や農業人口の減少など、さまざまな問題を抱えていて、年間 350人もの自殺者が出ています。ダヴィッドさん自身、2015年に破産に追い込まれ、自殺を考えたことがあるそうです。農家が農場を失うということは人生を失うことに等しいですからね。

また、フランスでは今、孤立化が深刻な問題になっていて、共同でプロジェクトを行うことで分断を乗り越えようとする動きが起こりはじめています。私はこれまで、身近な題材をテーマに、人々が互いに手を取り合ってつながることで苦境から抜け出す姿を描いてきました。で、「農場キャバレー」は、こういったテーマを表現するのに最適じゃないかと思ったのです。

――本作は、カラフルな色遣いが印象的な映画でもあります。監督の過去作『ベティの小さな秘密』(2006)も色が印象に残る映画でしたが、どんな思いが込められているのでしょうか。

世界を明るく照らしたいという思いがありますね。私の作品はどちらかというと実話を基にした作品が多いんですが、悲惨な現実をリアルに描きたいとは思っていません。悲惨な現実をデフォルメし、ファンタジーとして描くことで、観客を明るく楽しい気持ちにさせたいと思っています。

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