本読みはしない、齊藤監督の雑談スタイル
―――撮影が始まる前から、高良さん、大東さん、石田さんとは話し合いを重ねられたそうですが、そこではどのような会話を交わされたのでしょうか?
「本読みという名目ではあったのですが、あえて本読みをせずに、ひたらす役を掘り下げる作業をしました。ありがたいことに、3人ともそうしたアプローチに理解を示してくれて、キャラクター設定だとか、シーン毎の気になる部分について認識を深めることができました。
例えば、石田さん演じる〈朔〉(石田卓也)の農業について。『石田さん今どんな農業やってるんですか?』といった議題が提示されて、みんな久しぶりに会ったテイで話し合う。
その過程で大東さんが『何育てる? 石田さんだったらアレじゃない?』とかまたふざけたことを言ったりするんですよね。『そんなんやらないよ!』という石田さんのツッコミがまた面白くて(笑)。
そんなこんなで、みんなで話し合いながら設定を深めていきました。シーンによってはそれを踏まえて本読みをしてもらって、シナリオをブラッシュアップする機会にもなりました」
―――雑談のような雰囲気で、キャラクターを深掘りされたのですね。
「そうですね。キャラクターの作り方としてそれが唯一無二の正解だとは思いませんが、今回の映画では、登場人物3人それぞれの関係や互いの見え方について、ディスカッションを重ねて、認識を共有できたのはすごく良かったと思っています。
思い返してみたら13時から集まって18時半過ぎくらいまで、かなり長い時間話していたんですよね。一方で、橋での重要なシーンはあえて一切やらないとか。独自のルールがあった気がしますね」