ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 「石原さとみはかなりぶっ壊れた俳優でした」映画『ミッシング』吉田恵輔監督、単独インタビュー。主演俳優の存在感を語る » Page 4

「毎日天気予報と睨めっこですよ」
美しい光の映像は、映画『ミッシング』の希望

©2024「missing」Film Partners
©2024missingFilm Partners

ーーー映像についてお伺いします。本作は幼い娘が行方不明になるという重い題材ですが光の入り方が美しく感じました。光の演出には相当こだわられたのではないでしょうか?

「これはベタな話になるのですが、この物語の中で沙織里たちにどういう光を見せるか。彼女たちが置かれている状況の中、視野が広がったときに初めて見えるものがあるのではないかということを考えました。

これまでも光に出会う機会はあったかもしれないけれど、自分の目がそちらに向かなかっただけ。でもそれに目がいくようになるのは、他者のために自分が行動を起こしたり、他者のために泣くことができたり、そういう時に見えるんじゃないかと。それまで沙織里は“美羽!美羽!”と娘のことしか考えていなかったけれど、他者のために行動できたとき、視野が広がり、光が見えるという演出を考えました。

もう台本に書いちゃったから、毎日天気予報と睨めっこですよ。助監督と『この時間に光がこう射します!』とか『太陽がやばい、もう25分しかない!』とか、すごく大変でしたけど、僕はもともと照明技師でスキルがあったので良かったです」

ーーーちなみに『ミッシング』というタイトルは吉田監督の案ですか?

「配給のスターサンズの河村光庸さんが付けました。僕は『空白』(2021)につながるようなニュアンスで考えたいと言っていたんですが、河村さんがある日、これしかないのを見つけたと。それが『ミッシング』なんです。撮影前だったので、とりあえず一回置いておきましょうと言って、あとから決めようと思ったら、河村さんが亡くなっちゃって。

『ミッシング』というタイトルを聞いたとき、結構みんなポカンとしていたんだけど、時間の経過とともに気になるタイトルになってきたとスタッフに言ったら、同じように「気になりますね」と言っていたので『ミッシング』でいこうということになったんです」

1 2 3 4 5 6
error: Content is protected !!