「この人たちは何に救われるんだろうと思って作った」
折り合いをつけられない人たちの人生を描く
ーーー分かりやすい決着に持っていかないということも、吉田監督の映画の面白さだと思っています。本作も“行方不明の幼い娘を探す家族の物語”と聞くと、前半にいろいろな伏線があって最後に回収されるはずだと思いがちですが、本作の芯はそこにはないことが分かります。
「まず『空白』に関して言えば、“人は大切な何かを失ったときにどう折り合いをつけるのか”というのがテーマとしてあったんです。死んだ娘のことは、時間や他者との出会いを経て、自分が前に進むきっかけを見つけられるかもしれない。そこで折り合いをつけられる。でも折り合いをつけられない人もいるよなと。
今日も明日も娘を探さなければならない状況で、どうやって折り合いをつけるの? と思ったんです。逆に折り合いをつけたら、娘を諦めたことになりかねない。じゃあ、この人たちは何に救われるんだろうと思って作った作品が『ミッシング』です。
北朝鮮の拉致問題もそうですが、娘が見つからないわけだから、家族は折り合いをつけられないんですよ。ずっと娘を思い続けている。そういう人たちがどうやって光を感じるかという作品を作りたかったので、答えは決まっていないんです」
ーーー吉田監督の今後、すでに予定されていることはありますか?
「今後もできる限り1年に1本、脚本を書き続けていきたいです。僕が監督デビューしてから『ミッシング』は13本目の作品ですが、10本はオリジナル作品なので、オリジナル作品が売れるという記録を長く続けたいですね。
やはり自分の中では妊娠した感覚かもしれません。物語を思いついたとき、それがどんどん自分の中で大きくなって、世に生み出されて、作品として成長していく。その過程を自分は見たいし、途中で終わらせたくないんです」
(取材・文:斎藤香)
【作品情報】
タイトル:ミッシング
石原さとみ
青木崇高 森優作 有田麗未
小野花梨 小松和重 細川岳 カトウシンスケ 山本直寛
柳憂怜 美保純 / 中村倫也
監督・脚本:吉田恵輔 音楽:世武裕子
製作:井原多美 菅井敦 小林敏之 高橋雅美 古賀奏一郎
企画:河村光庸 プロデューサー:大瀧亮 長井龍 古賀奏一郎 アソシエイトプロデューサー:行実良 小楠雄士
撮影:志田貴之 照明:疋田淳 録音:田中博信 装飾:吉村昌悟 衣装:篠塚奈美 ヘアメイク:有路涼子
スクリプター:増子さおり 助監督:松倉大夏 制作担当:本田幸宏 編集:下田悠 音響効果:松浦大樹
VFXスーパーバイザー:白石哲也 キャスティング:田端利江 題字:赤松陽構造
製作幹事:WOWOW 企画:スターサンズ 制作プロダクション:SS工房 配給:ワーナー・ブラザース映画
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