品性が感じられる水上恒司の演技

とはいえ、キャストは全員素晴らしかった。

福原遥、水上恒司ともに清潔感と品性が感じられた。特に水上は現在公開中の映画『OUT』のヤンキー役を見たばかりだからか、その化けっぷりに驚いた。若干昭和の香りがするイケメンというのも効果を発揮したのではないだろうか。

福原はとても可愛らしい高音ボイスの持ち主。クセがつきやすい声だが、穏やかな話し方でスッと心に入ってくる。

また他の出演者たちの素晴らしい演技も今作を成功に導いた大きな要因だろう。

特攻隊員の伊藤健太郎、嶋﨑斗亜、百合と友人になる千代を演じた出口夏希らが好演。

嶋﨑斗亜はアイドルグループ「Lilかんさい」のメンバー。バラエティでは何度か見たことがあったが、本作では同一人物だと思わないほどの演技であった。

まっすぐで素直なお芝居が印象深く感じたため、今後も俳優として期待ができる存在だ。舞台は戦時中だが、戦争の狂気は描かず、特攻隊員の運命から戦争の痛みを伝える作品となっている。

戦争映画が「怖い」「残酷なものは見たくない」という人でも入りやすいため、若い人にこそぜひ観てもらいたい。

（文・斎藤香）

【作品情報】
タイトル：「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」
原作：汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』（スターツ出版文庫）
主演：福原遥、水上恒司
出演：伊藤健太郎、嶋﨑斗亜、上川周作、小野塚勇人、出口夏希、坪倉由幸、津田寛治、天寿光希、中嶋朋子／松坂慶子
主題歌：福山雅治「想望」（アミューズ／Polydor Records)
監督：成田洋一
脚本：山浦雅大　成田洋一
製作：映画「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会
配給：松竹
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